海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!

 そのままふたりの間に割って入り、アーサーさんに頭を下げた。そして私が先ほどした的外れな説教を詫びる。
「なんにもわかってないくせに、ずいぶんと偉そうに説教して、……ほんとごめん!」
爺さんを詮索するよりなにより、間違ったことをしたらまず謝る、そんなのは子供でも知っている!
「エレン、頭を上げてくれ。エレンが言ったことはなにも間違っていない。一般社会においてはエレンが語った言葉が道理だ。今回は不幸にも、たまたま常識外の物騒な人物にあたってしまったというだけだ」
 アーサーさんは私の背中をなだめるようにトントンとなでる。そうして優しく促して私の頭を上げさせた。
「アーサーさん……」
 見上げたアーサーさんは、いっさい含みのない朗らかな笑みを浮かべていた。
やはり海軍提督だろうがなんだろうが、アーサーさんはものすごく人がよくて優しいと思った。
「ふははははっ!」
 すると私たちのやり取りを見ていた爺さんが、盛大に笑い声を上げた。
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