海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!

 結局、最後に折れたのはアーサーさんで、懐から乗船証を取り出すと、私にスッと差しだした。
「はい! よろしくお願いします、アーサーさん!」
「よろしくエレン」
 満面の笑みを浮かべる私に対し、アーサーさんは少し困ったように笑った。
 この時、私の中にわずかに残っていた乗船や航海への不安がすべて霧散していた。
 アーサーさんの船ならば、大丈夫。初対面で持つには些か不可解ではあるが、私はアーサーさんが醸し出す穏やかで心地のいい空気に対し、絶対的な信頼と安心感を抱いていた――。

こうして私はアーサーさんの船に乗ることになった。
ただし自分の足ではなく、アーサーさんに担がれて。
 なんでだっ!?


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