海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
マーリンさんの真摯な瞳にうなずいて応え、私はアーサーさんに向き直った。
「ごめんなさい、アーサーさん。ひどいことを言ってごめんなさい」
この一カ月の間、一番身近で、一番信頼して、一番多くの時間を共に過ごした。その中で育った絆は、けっして伊達じゃない。
「信じてもらえるかわからないけど、さっき言ったのは本心じゃなかった。アーサーさんが私を笑ってるだなんて思ってない。だって、アーサーさんがどれだけ親身に私に目をかけてくれてたか、本当はそばにいた私が一番、わかってた……」
ブワッと涙があふれた。
腹立ちを消化できずに、馬鹿な八つ当たりをして、アーサーさんを傷つけた自分自身が許せなかった。
「エレン、俺こそ気づかないふりをして、結果エレンを傷つけてしまいすまなかった。けれど、なんとかエレンを守ってやりたいと思ったことだけは確かだった」
「うん、ありがとうアーサーさん」
見上げるアーサーさんの輪郭が涙で滲む。だけど、アーサーさんが私に向けるひたむきな優しさは滲まない。
「ねぇ、ところでアーサーさんはいつ気づいたんだ?」
恥ずかし紛れに、滲む涙を乱暴に袖でぬぐって問いかけた。
「すまん!!」