海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
ならば、それをあえて自分の手でしてやりたいと望むのはどうして……っ!
「マ、マーリンさん!」
この時、私は自分自身のことなのに、自分の気持ちがわからなかった。霧の中を手探りで進むかのように、先がまるで見通せない。
なのでとりあえず、手近なマーリンさんのところに退避した!
「なんか私、みっともないとこ見せちゃってごめんなさい!」
「……俺としたことが、これは少々船長の肩を持ちすぎてしまったでしょうか」
私が駆け寄って袖を引けば、マーリンさんはなにやら思案顔で、ボソボソとつぶやいていた。
「マーリンさん?」
「ん? あぁエレン、今のは独り言ですのでおかまいなく。そういうわけで、俺も船長もエレンの事情は把握していますので、困ったことがあったら相談してください。もし万が一、不肖我らが船長に関しての相談ごとが発生した場合も、俺は二十四時間対処に応じますので、遠慮なく言ってきてください」
……なんか、最後の二十四時間対処に応じるとか、ずいぶんと大仰だな? そもそも、アーサーさん事由の相談ごとってなんだぁ? ……ああ、いびきとか、か!
「ありがとう! もし、激しくて寝かせてくれなかったりしたら、すぐに相談させてもらうよ!」
「ブフォッ!!」
私以外の全員が、同時に泡を噴いたのは、なんでだ?