海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
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予期せぬ形で、俺がエレンの性別を知っていたことがバレた。
エレンが食ってかかってきた時、俺はなんと伝えればエレンへのダメージが一番少ないか考えていた。
エレンの傷つくこと、それは俺が最も避けたいところだった。そうして俺が気の利いた言葉を選ぶのに窮していれば、なんと横からマーリンが救いの手を差し伸べた。
マーリンの取り成しによって穏便に、いや、一部にものすごい興奮を伴いながら、俺はエレンとの新しい関係に一歩を踏み出すことができた。
これには、ホッと安堵に胸をなで下ろした。
ちなみに俺の本音としては、エレンが語った〝激しくて寝かせてくれない〟という桃色めいた言葉の真意をすぐにでも追求したいところなのだが、人目の多いこの場ではエレンが恥ずかしがって真相を語れないかも知れない!
そう思い直して、グッとのみ込んだ。
「……コホン。まぁ、とにもかくにも和解に至ったようで、なによりとしましょう。ローシャル殿下の船舶は制圧済みで、現在は手分けして乗組員の聴取と、積載物の確認作業にあたっています。俺はローシャル殿下をお連れして調書作成を始めてよろしいでしょうかね?」