海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
エレンの与えた衝撃から持ち直したマーリンが状況を報告し、俺に伺いを立てる。
「あぁ、……いや、少し待ってくれ」
了承しかけたが、思い直してローシャル伯父上に向き直る。
「ローシャル伯父上、先ほどの婿の一件に関してですが、俺が責任を持ちますので心配は不用です」
俺は、胸を張って断言した。
俺の言葉に、ローシャル伯父上は目を見張った。
「なぁ? 責任を持つってなんだ? アーサーさんまさか、私に誰かいい相手でも紹介してよこすつもりなのか? ……うーん。それはちょっと、いらない親切ってやつだよ」
けれどローシャル伯父上がなにか言うより前、隣のエレンが俺の袖を引いてとんちんかんな発言を繰りだした。
これを聞くに、先ほどの〝激しくて寝かせてくれない〟という台詞には、あまり期待できないような気がした。
そんなエレンを、ローシャル伯父上が横から目を細めて見つめていた。
その愛おしさのこもる眼差しに、実際に会うことは叶わなくとも、伯父上がエレンに抱くたしかな絆を見た気がした。
「だって私さ、結婚はしないつもりなんだ」
「どうしてだ!?」