海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「……エレン。口調や所作はともかくとして、そなたが両親から多くの愛情を注がれて育ったのだということは、わしにもよくわかった」
 ローシャル伯父上が告げたこの言葉に、俺も内心で深く同意していた。
「うん! 父ちゃんも母ちゃんも、いつもいっぱいの愛情をくれるんだ!」
「そうか」
 ローシャル伯父上は相好を崩し、いとしげにエレンを見ていた。
「では船長、よろしいですか?」
「ああ」
 マーリンに促され、ローシャル伯父上が聴取に向かう。
 無邪気で可愛く、時に悪魔のように俺を翻弄してみせるエレンに俺は、一生勝てる気がしない。とにもかくにも、かわいいエレンの頭をポフポフとなでてやれば、エレンはご満悦な様子でスリスリと俺の手に頭を寄せた。
 ……ふむ、かわいい。
「船長、ご愁傷さまです。日頃の船長の働きに敬意を表して俺からひとつ助言をさせていただくと、まずはエレンのお父上を徹底的にリサーチし、その上で地道に〝父ちゃん〟の上を行く行動を積み重ねていくのがよろしいかと。まぁ、船がバーミンガーの港に帰り着くまでは後一カ月もありますから。せいぜいがんばってください」
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