海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
積載物の項目に、俺は首をかしげた。一瞬からかわれているのかと疑ったが、マーリンは業務にそんな無駄は持ち込まない。
ならば事実、伯父上の船はこれらを積んでいるということ。
「マーリン、これはなにに使うんだ?」
「黒っぽい岩は、地質時代の大量の木々が埋没し、海底で炭化した物だそうです。白っぽい岩は、マンガンや鉄などの金属水酸化物の塊だそうです。ローシャル様によりますと、どちらも生かし方次第で、将来宝物よりも価値ある資源に変わる可能性を秘めているとかなんとか」
「違法奴隷や違法薬物は出なかったのか?」
「はい」
マーリンがポーカーフェイスで即答した。
「……そうか」
違法操業船の元締めをしておきながら、伯父上自身の船の積載物は謎に満ちていた。
「俺ごときが言えたことではありませんが、ローシャル殿下の見識の深さには目を見張るものがあります。違法操業船の元締めというのは、海洋資源採取にかかる莫大なコストを賄うために始めたようです」
「……そうか」