海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
俺の言葉に、エレンはじっと聞き入っていた。
そうして俺を見上げたエレンがうれしそうに、本当にうれしそうにクシャリと笑った。
「……うん! ねぇアーサーさん? やっぱりアーサーさんって、父ちゃんみたい!!」
こ!? これは喜んでいいところなのか!?
エレンが異性に求める好意の基準が「父ちゃんみたい」であるならば、これは喜んでいいのか? ……うむ、これを喜ばずにどうする!
「そ、そうか! それはうれしいな!」
ちょこっと滲んだ涙には、知らんぷりだ!
とにもかくにも、バーミンガー王国に帰り着くまでの一カ月、エレンは手を伸ばせば届く距離にいる。あとはエレンの胸に育ち始めた恋心をいかように育てていくか、これは俺の腕の見せどころだ!
「なぁエレン? 想いの通じ合った今宵から、寝床を寝台に移さんか? スプリングの利かぬ床では、いろいろと支障が出ることも、あったり、なかったり……するかもしれんしな!」
仲良くしっぽり、あれやこれやを営もうとすれば、当然その場所は床よりも寝台に軍配が上がる。