海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!

 ……嘘だ。俺は見た。ほんの一瞬だったが、たしかにこの目で、見てしまった。
 あの七宝の紋章は、鬼熊の戦神の意匠かっ!
「そっか! よかったぁ! 父ちゃんが、ピンチのときに見ろって言ってたやつだから、ピンチを撃退する以外の用途じゃ見ちゃ駄目なんだ」
 ……そうだろう。事実、一瞬で俺の荒ぶる股間は直立不動の紳士に変わった。
 すさまじい影響力でもって、ペンダントはエレンの貞操の危機を一瞬で吹き飛ばした。
 俺の目は、目の当たりにした現実を拒むかのように、涙の幕で滲む。
 今思えば、食堂でエレンを詰問していたマーリンもまた、一足先にペンダントの中身を目にして気づいていたのだ。
 もっと言えば、マーリンは甲板でエレンに飴玉をやったあの時、俺に話そうとしていたのではないか? ……俺か!
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