海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!

 
 ……ん?
 ゆっくりと、まぶたを開く。
 目の前は、薄暗かった。
 ……私、どうしたんだっけ?
 ゆっくりと身を起こす。段々と暗がりに目が慣れてくれば、自分がパリッと糊の利いたシーツの上に寝かされていたことに気づく。
 部屋は木壁で、質素な造りだった。この寝台のほかには、木製の机と椅子が一脚。大ぶりな衣装櫃が置かれているほかには、調度らしいものはない。
「ここ、どこだ?」
 いっさいの無駄が省かれた室内は、安宿にしたって簡素すぎると思った。
 ぐるりと室内を一周見渡して、最後に私は寝ていた寝台の横に視線をやった。
 その瞬間、驚きに息をのんだ。
 丸窓の向こう側には、ゆらゆらと揺れる海が広がり、暗くなり始めた空には、一番星が輝いていた。
 ……そうだ、そうだよ!
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