海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!

 入ってきたのは、両手にリネン類やらたらいやら、いろいろ抱えたアーサーさんだった。
「エレン、起きて大丈夫なのか!? さっきまで具合を悪くしていたのに、急に立っては危ない!」
 アーサーさんは、起き上がっている私を見ると、落っこちそうなくらい目を丸く見開いた。そうして両手に抱えていたリネンやたらいを放り出し、私に駆け寄る。
「ちょっ、アーサーさん!?」
 アーサーさんは空いた手で私のウエストをヒョイと掴むと、止める間もなく再び私を寝台に寝かしつける。そのまま私の頭をよしよしとなでつけて、掛布を首元まで引き上げる念の入れようだ。
「なぁアーサーさん! 俺、もうすっかり平気なんだ……っ!」
 上半身を起こそうとすれば、トンと肩を押された。私は寝台に、たやすくポフンと逆戻り。
 アーサーさんが、力をこめていたわけじゃない。だけど、私の抵抗なんて歯牙にもかけないくらい、アーサーさんの手は圧倒的に大きくて力強い。
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