海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
くれないか? と尋ねつつ、エレンが一般乗組員から船長付きに配属転換の旨は船内掲示で告知済み。
順番は前後しているが、なんとしたってエレンの了承を取りつけるのだから、そこには口をつぐむが吉だ。
「それって特別扱いとか、優遇とか、そんな類いか? もしそうなら、俺、コショーにはならないよ。これまで通り、当番で働くよ」
エレンはなんと、公明正大な心根を持つのだろう。俺付きと聞かされて、真っ先に自分が人より優遇されることを気にするとは!
「はははっ。エレンはおかしなことを言う。俺付きにひとり、補佐役の少年をあてたいと前々から思っていた。もろもろの条件を公正に見極めた結果、エレンに白羽の矢が立ったというだけの話だ」
「本当か?」
不安気に俺を見上げるエレンに、おおらかにうなずいてみせる。
「もちろんだ。最初に乗船交渉をした時に、エレンは算盤が得意だと言っていたろう? 船長の業務にも計算は避けられん。ところが俺はどうにもこうにも計算が苦手でな。だからエレンに、力になってほしい」
俺の言葉に、エレンが笑う。