365日のラブストーリー
「素敵なところですね。神長さんはよくここにいらしてるんですか?」
「二回目です。前は宿泊でしたが、部屋も和モダンで居心地が良かったですよ」

「わたしは無理だなあ、宿泊は。ひと月の給料が半分以上なくなっちゃうし。でも、死ぬまでに一回くらいは泊まってみたいです。仕事を頑張って、そのご褒美とか」

「連れてきてもらう、というのも有りかと思いますが」

「えっ。でも高すぎて、とてもおねだりできるような金額ではないので、やっぱり自分で頑張ります。お父さんも三人分負担は大変だと思うので」

「……ああ、そっちですか」
 神長は切れ長の目を優しく細めた。

「外資系ホテルですから同じ部屋に泊まれば一人でも二人でも、値段は変わりませんよ。以前友人が来日したときにこのホテルに宿泊していたので、ついでに泊まらせてもらいました。翌日に街を案内する予定もあったので」
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