365日のラブストーリー
 神長なら人と話をすれば、すぐにそれがどんな人なのか分かってしまうはずだ。けれども自分一人でそれをやるのは限界があるからinnocenceがあるのかもしれない。Renが神長の分身のように思えると、実体のない友人がますます愛しくなる。

(最近、なんとなくご機嫌ななめだけどね)
 有紗は鞄の中の相棒に目を向けた。

「やっぱり神長さんは独立を考えているんですね」
「そのつもりですが、ちょっと今は考えがまとまりません。当てが外れてしまって。……それもまあ、俺の浅はかさが原因ですが」

 さらりと話して、神長は短く息をつく。なにかを思い起こしているのか、視線が窓の外を向いた。

 すべて先を見通した上で動くような人間かと思っていたが、神長にも予想外の出来事というのは起こるものらしい。

話もよくわかってない人間が「大変ですね」と気持ちを寄せるのも、上面だけのような気がしてしまい、有紗は何も言えなかった。
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