365日のラブストーリー
交差点が赤信号に変わって、車が緩やかに止まる。
「家で大丈夫ですか?」
「あ、はいどこでも」
神長は正面をまっすぐ見つめたままだったが、頭の中では会話と離れて、まるで別のことを考えているようにも見えた。
そういえば食事中独立の話になったときも、どこか物憂げなようすだった。ふとした瞬間に現実の壁を越え、思考の海に潜っていってしまう。あの美味しい朝食でも神長の心を変えることは出来なかったのだろうか。
胸の奥にちくりと棘が刺さる。
自分だけが満足させてもらって、神長のことをこれっぽっちも満たすことができないという無力感。彼がほんとうに必要としている人は、きっと他にいる。そんな気がしてしまって、少しは近づいたと思っていた距離が、また遠ざかっていく。
(わたしの役目は一緒に朝ごはんを食べることで終わったんだから、もう余計なことを話しかけないほうがいいんだ。きっと、話しかければいつもみたいに優しく返してくれるけれど)
「家で大丈夫ですか?」
「あ、はいどこでも」
神長は正面をまっすぐ見つめたままだったが、頭の中では会話と離れて、まるで別のことを考えているようにも見えた。
そういえば食事中独立の話になったときも、どこか物憂げなようすだった。ふとした瞬間に現実の壁を越え、思考の海に潜っていってしまう。あの美味しい朝食でも神長の心を変えることは出来なかったのだろうか。
胸の奥にちくりと棘が刺さる。
自分だけが満足させてもらって、神長のことをこれっぽっちも満たすことができないという無力感。彼がほんとうに必要としている人は、きっと他にいる。そんな気がしてしまって、少しは近づいたと思っていた距離が、また遠ざかっていく。
(わたしの役目は一緒に朝ごはんを食べることで終わったんだから、もう余計なことを話しかけないほうがいいんだ。きっと、話しかければいつもみたいに優しく返してくれるけれど)