365日のラブストーリー
3

 高層ビル街を抜けて、東京湾に面した巨大工業地帯を通り抜ける。
移り変わっていく景色を眺めていると、日常を離れてどこか遠くに行けるような気がしてくる。

 東京から横浜方面への移動は、神長にとっていつもの通勤ルートに過ぎないのかもしれない。けれども行き先を選んだのは彼だ。
 山下町で高速を降りて、元町中華街の駅からも近いタワーパーキングに車を停めた。

 このあたりはマリンタワーや港の見える丘公園のように、海を展望できる場所がいくつもあるロマンチックな場所で、すぐ側には横浜中華街がある。歩いて移動できる距離の中に、遊べる場所がぎゅっと詰まっている。

 有紗は大学時代、友人と中華街まで観光に来たことがあった。
 大小様々な中華料理店が立ち並ぶメインストリートでは、食べ歩き用に豚まんが売られている。

食事の前だというのにあちこちの味を試しすぎて腹が膨れてしまい、腹ごなしの散歩でも消化できず、結局どこの店にも入れないまま帰ったというのが最後の記憶だ。
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