365日のラブストーリー
「有紗ちゃん」
 千晃が不安げに顔を覗き込んできた。

心暖のことでも千晃の心を傷つけているのに、もうこれ以上彼を苦しめることはできない。有紗が頷くと、千晃はすぐに唇を触れあわせてきた。

「あま。いまケーキ食ってたからか」

 それから千晃は俯きがちな有紗の頬をすくって、もう一度口づけをした。熱い舌が入り込んできて、有紗を探っている。

(どうしてだろう、前みたいにどきどきしない)
 もう千晃とのキスに身体が慣れてしまったのだろうか?

 有紗はよくわからないまま千晃の動きに合せてみたが、このまま何分続けても、インターネットのサイトで見るような『感じるキス』には至らないような気がした。

 不思議に思っていると、ふいに千晃の唇が離れた。

「何か他のこと考えてない?」
「ぜんぜん、そんなことは」

「……嘘だね。有紗ちゃん、目を閉じて」
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