365日のラブストーリー
6

 午後十時を回ると、駅のホームにも人が増えてきた。階段から人の群れが現れては、数分おきに到着する電車に吸い込まれていく。有紗はそれをベンチから幾度となく見送っていた。

 ときどき通りすがりの誰かが、腹部を押さえたまま前屈みになっている有紗にちらりと視線を送ってくる。そして気にかけながら、立ち去っていく。

 早く家に帰って横になりたい。そんな気持ちは時間を追うごとに強くなるが、今は立ち上がることさえできなかった。

 胸の下がずきずき痛んで、ホームの床にうずくまりたい衝動に駆られる。吹き付けてくる風は肌をひりつかせるほど冷たいのに、額には脂汗がにじんでくる。

 有紗は腹部を指先で押さえながら、痛む場所を探ろうとしたが、その中心がどこにあるのかすらわからなかった。波が治まるのを待つこと三十分、このまま待っていても電車に乗れるようになるとは思えない。

 有紗はスマートフォンを取り出して、真っ暗な画面を見つめたまま考えた。
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