365日のラブストーリー
「あ、大丈夫です。おかげさまで」
 心暖が有紗のすぐ横に座って、じっと有紗の顔を見つめている。反応を楽しみにしているみたいだ。

 千晃は心暖を挟んで同じソファにかけた。それぞれの目の前にシュークリームの乗った皿を分配して、有紗が手を伸ばすのを待っている。

「それじゃあ、いただきます」

 注目を受けながら、有紗は久々のスイーツを手に取った。昔ながらのふんわりとした柔らかな生地には、バニラビーンズの甘い香りがする、固めのカスタードクリームがたっぷり込められている。

 千晃のことだから、できる限りのことを心暖にやらせてあげただろう。できあがりまで一日がかりだったかもしれない。

「おいしい?」
 心暖の小さな手のひらが、膝の上に乗った。身を乗り出すようにして、有紗の言葉を待っている。

「うん」
 口元を抑えながら頷くと、心暖は満面の笑みを浮かべた。

 数えるほどしか会ったことのない相手のために、一生懸命作ってくれたのだろう。まさか、こんなサプライズがあるなんて思ってもみなかった。


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