365日のラブストーリー
「ただ、形だけ整えても上手くいかない理由は単純で、俺に魅力がないっていうことでしかないけど」

「違うんです。全部わたし自身の問題なんです。……きっとわたしは誰と付き合ってもだめなんです。だから、そんな風に言わないでください」

「有紗ちゃんは優しいなあ。色々言いたいことはあるけど、俺は器用じゃないから、何をどんな風に言っても有紗ちゃんを傷つけることしかできないんだろうな」

 そんなことないです、そうやって首を振って否定しても、言葉が千晃に届くとも思えずに、有紗は黙った。

「有紗ちゃん、人間には三つの苦手なことがあるんだって。ひとつは苦痛を訴えること。もうひとつは慰めること。最後は慰めをうけること。当てはまる?」

 有紗はすぐ、ミッションスクールに通っていた頃に学んだことを思い出した。人は弱く、自分を理解してほしいと他人に多くを求めるほどに裏切られる。

人間同士でその欲求を満たすことはあまりにも難しく、ときには危険な行為でもある。けれども人は神からその慰めを受けることができるというような内容だった。
< 289 / 489 >

この作品をシェア

pagetop