365日のラブストーリー
「綿貫さんのご家族も、人に喜んでもらうことが好きな、明るい人たちなんだなと思いましたが」

「明るいっていうかもう、脳天気ってかんじで。人からのんびりしてるって言われるわたしがそうやって言うくらいですから、相当ですよ」

 力を込めて言ったとき、神長に手を引かれた。

「気をつけてください」
 話に夢中になって、足元を見ることを忘れていたが、有紗は路肩に積まれた雪の上に乗りそうになっていた。いったんブーツの裏に雪の塊がついてしまうと、滑りやすくなる。

「すみません、ふらふら歩いていて」
 そういえば前も、自転車にぶつかりそうになって神長から注意されたことがあった。身体を寄り添わせたときのことが鮮明に蘇り、頬が火照る。

「日が傾くのが早いですね」
 神長は少しだけ歩調を速めた。

「夕焼けはどこから見るんですか?」
「港の見える丘公園です」

 友人や親から聞いたことがあったのだろうか、行ったことはないはずだが、名前だけは知っている。
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