365日のラブストーリー
 公園が海に対して横長の造りで、展望台まではあっという間だ。地形と同じカーブを描く屋根付きの見晴らしで、それを支える支柱にはベンチが取り付けられている。広々とした場所だけに、風の冷たさが身に染みる。

 丘の上を削って公園を作ったからか、展望台のすぐ手前にはそのまま自然が残されている。視線を少し遠くに投げると横浜港、丸い屋根の倉庫がいくつも見えて、その向こうにはベイブリッジ。海を挟んだ対岸は工業地帯だろうか。

キリンのような形をした紅白模様のクレーンがいくつも並んでいる。有紗は頭の中で地図を思い浮かべていた。たしかに独特な展望だが、この景色が好きだというのがなんとなく神長らしい気がした。

「神長さん、鹿島の工業地帯って行ったことありますか?」
「ああ、茨城の?」

「はい。ときどき家族で銚子の方までお魚を買いに行ったりしてたんです。ドライブ中にたまたま見つけた公園に寄って、そこにあった展望塔に登ったことがあったんですけれど。わたし、理由はわからないんですけれどその景色が好きだと思ったんです。なんだかちょっと、それを思い出しました」
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