365日のラブストーリー
「神長さんに好きな人がいるのは知っています。わたしが森住さんと付き合っていたことも知っているでしょうし、同僚を傷つけたこと、それに加担させられたことを心のどこかで不快に思っているでしょうし、こんなことを言われても呆れられるだけだっていうこともわかってます」

 神長はゆっくりと息を吐き出して、身体ごと有紗のほうに向けた。

「最初は眩しくて直視できなかったのに、そのうちに一緒にいる時間がとても楽しくなってきて。お話しするほどに、もっとたくさんのことを知りたくなって。もし、神長さんの出向が終わった後もお友達でいれたら嬉しいなって思って、恋も仕事も全部応援しようと決めたんです。だけど……それも無理みたいです」

 これは有紗がこれまで頭の中で練ってきた、別れの言葉だった。

 自分から終わりを告げれば、楽になれる。きっとどんなに泣いたとしても、今日さえ終われば安心するはず。また数ヶ月前の生活に戻るだけだ。有紗は呪文のように心で唱えて、神長からの言葉を待つ。
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