365日のラブストーリー
 神長となぜそんな話になったのかを説明するためには仕方がなかったとはいえ、しゃべりすぎてしまったような気がするが、中途半端にして何も伝わらないよりはましだ。

 人事部に戻ったのは、昼休みが終わるぎりぎりの時間だった。店を紹介してくれた宇美に礼を言いに行こうとしたが、もう仕事を始めているようだ。電話中だが話が途切れそうな様子もない。

(そっか、宇美さんは内々で、四月、五月の異動の調整をしてるから)

 有紗は自席に真っ直ぐ向かって、仕事に取り掛かることにした。先々の準備をしていると、春がすぐそこまで来ているような感覚になる。

 神長と会社で顔を合わせることもなくなってしまう。それは坂巻にとっても同じだ。

(二人の関係に首を突っ込んだのは、きっと間違いじゃなかったはず)
 神長が大切な人と離れ離れにならないように、自分にできることはやったつもりだった。

< 353 / 489 >

この作品をシェア

pagetop