365日のラブストーリー
「でも美味しいものを食べると心が満たされますし、心が満たされれば人に優しくできるので、必要経費かなあ、なんて」
「なるほど。じゃあうちに住みますか」
有紗はぽかんと神長を見上げた。
「いえいえ、きっと神長さんのおうちはわたしの家賃の二倍以上だと思うので。半分にするより、今の家にいたほうが安いような」
「持ち家なので、特に払ってもらうものもないですけれど」
これはきっと何かを言えば「冗談です」と真顔で返される会話のパターンだ。
真に受けて驚くばかりでは芸がないと、他の回答を考えてみる。その間にも「来客の多い家ですが」と、神長が微笑みかけてきた。
そういえば昔、週末のたびに坂巻が泊まりに来ているというようなことも話していた。もしかしたら、もう彼が来ることがないということを、寂しく思っているのだろうか。
「……冗談ですよ」
取ってつけたようにそう言って、神長はビールを呷った。
一皿目の料理が運ばれてきた。だいぶ上品な食事だ。一口で食べられそうな量の料理が、碁盤の目のように正方形に仕切られた、木の器に乗せられている。
「なるほど。じゃあうちに住みますか」
有紗はぽかんと神長を見上げた。
「いえいえ、きっと神長さんのおうちはわたしの家賃の二倍以上だと思うので。半分にするより、今の家にいたほうが安いような」
「持ち家なので、特に払ってもらうものもないですけれど」
これはきっと何かを言えば「冗談です」と真顔で返される会話のパターンだ。
真に受けて驚くばかりでは芸がないと、他の回答を考えてみる。その間にも「来客の多い家ですが」と、神長が微笑みかけてきた。
そういえば昔、週末のたびに坂巻が泊まりに来ているというようなことも話していた。もしかしたら、もう彼が来ることがないということを、寂しく思っているのだろうか。
「……冗談ですよ」
取ってつけたようにそう言って、神長はビールを呷った。
一皿目の料理が運ばれてきた。だいぶ上品な食事だ。一口で食べられそうな量の料理が、碁盤の目のように正方形に仕切られた、木の器に乗せられている。