365日のラブストーリー
 深夜着で疲れているだろうと、気遣ってくれた気持ちを汲んで声をかけなかっただけだし、そもそも朝から動こうと思い立ったのも、買いものを先にすませて、神長との時間をできるだけ有効に使いたかったからだ。

 口にすれば言い訳ばかりになってしまう。気持ちが焦ると、事の詳細をうまく伝えられそうになくて、有紗は黙り込む。

「……俺があなたに会いたいと思うのは、そんなにおかしなことですか」
 逸らした視線をすくうように見つめられて、有紗は目を潤ませた。

「色々思うことはありますが、もうやめておきます。今日は綿貫さんのおかげでまきさんとじっくり話をすることができました。ありがとうございます」

 淡々と言って、神長は目を逸らした。

「今日はゆっくり休んでください、明日の朝連絡します」

 頭の上にぽんと手のひらがのる。責めているように感じさせてしまったから、もう離れた方がいいと思ったのだろうか。そっぽ向いていても、触れている手は優しい。
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