365日のラブストーリー
 ぴたりと足を止めて、神長が振り向いた。一秒、二秒、過ぎていく時間のなかで、有紗は大切な人におくる言葉を探した。

(こんなとき、Renに訊けたら一発なのに)

「……わたし、神長さんとずっとずっと一緒にいたいです。ああ、ごめんなさい。もっと何か素敵なお返事がしたかったんですけれど」

「気持ちはたしかに受け取りました」
 恐縮したように頭を下げ、それから神長は有紗の手を引いた。



 間もなくたどり着いたのは、海がすぐ目の前にあるオープンエアのバーベキューレストランだ。見覚えのある面々が、驚きの表情で有紗を迎えた。

 坂巻と千晃、心暖の他に、システム課長の橋爪と、神長の元同僚、優月もいる。会社で基幹システムの開発をしていたメンバーだ。

「有紗、ここに」
 神長から隣の席を勧められて、腰を下ろす。呼び方ひとつで何が変わるわけじゃないのに、それが見知った顔の前だと緊張する。

 神長がジョッキにビールを注いでくれた。千晃が「どこ行ったのかと思ったら」と、ため息をこぼしながら、取り皿に焼けたばかりのロブスターを乗せて、有紗の前に置く。
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