365日のラブストーリー
 入り口のハンガーにはジャケットとシャツが、カウンター式のテーブルの上にはラップトップPCが二台。コーヒーの入ったマグカップはそのまま置かれていた。

 ここにしばらく滞在しているからなのか、すっかりプライベート空間になっている。もしかしたら神長の部屋もこんな雰囲気なのはないかと想像して、有紗は足を止めた。

「昼間まきさんがワインを持ってきてくれたので、それでも飲みますか。どうぞ、適当に座ってください」
 有紗はベッドに腰かけた。

 そのあいだに神長はキッチンで栓を抜き、ワイングラスに注ぐ。神長の手慣れた動作を見守りながら、この光景も自分の日常になっていくのだと、実感する。
 神長はグラスを持って、有紗のとなりに腰掛けた。

「どうぞ」
「ありがとうございます、じゃああらためて」
 ひとつ受け取って、グラスを合わせた。

「うん……まあまあですかね。空港で買ったから味はわからない、とまきさん自身も言っていましたが」
 天井を睨みながら、神長がつぶやいた。
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