わたし、BL声優になりました
「あははっ。本当に面白いね、キミは。さて、そろそろ終わりの時間も近づいてきたところだし、白石くんに今後の抱負を語ってもらって、今日はこのへんで締めようかな」
「抱負ですか。……じゃあ、売れたい……です」
急に抱負を振られ、パッと脳裏に浮かんだのは『売れたい』という、実にシンプルかつ正直な答えだった。
しかし、本音を言うと台本にないことを不意討ちで振らないで欲しい。
どう答えればいいのか分からないし、無茶振りに対応出来る程のスキルを私はまだ持っていない。
「ここまで堂々と言えるのもなかなかに凄いね。俺と同じ事務所だし、そこに関しては大丈夫じゃないかな。マネージャーがなんとかしてくれるよ。白石くんが売れて、いずれは共演とか出来たらいいよね」
別ブースで収録を見守っている赤坂は、黒瀬の言葉に微笑し、頷いていた。
最終的には黒瀬が、ゆらぎの直球的な答えを上手く纏めて、ラジオは無事にエンディングを迎えた。
「セメルくん、白石くん。収録お疲れさまでした」
収録ブースを出ると赤坂が二人に労《ねぎら》いの言葉を掛けた。
「おつかれー。お前、結構ボケかます奴なんだな。今日は色々とびっくりしたわ」
「え? オレ、ボケてたつもりないんですけど……」
「それが白石くんの良いところなんですよ」
三人で廊下を歩きながら雑談を交わしていると、珍しく黒瀬と赤坂の意見が一致し、場が和やかな空気に包まれる。
いやいや、ちょっと待ってください。
黒瀬さんはともかく、そこでどうして赤坂さんまで同意するんですか。