恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
◇◇◇
酸っぱいもので胃が刺激されたからと、少し早めの夕食をイタリアンレストランでとり、梓は一樹の車で自宅まで送ってもらうこととなった。
家まで、あともうわずか。
「今日はありがとうございました。とても楽しかったです」
「俺も楽しかった」
運転席でニコッと笑う一樹を眺めながら、梓はわけもなく心が温かくなる。その理由を知ってはいけないような気がして、目を逸らし、頭の隅の方に追いやった。
「そういえば今日、三島さんはどうされていたのでしょうか」
「どうって、休んでるだろ」
「……そう、ですか」
梓たちの関係を疑っている友里恵は、今日も後をつけていたのだろうか。
梓はその存在も尾行も忘れていたが、今ふと思い出した。
「もしかして尾行?」
「はい。今日も追ってきてるのかと思いまして」
「どうだろうね。すっかり忘れてたよ」
それは、一樹もこの時間を思いきり楽しんでくれたということだろうか。