恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
そう思いつつ店内を覗こうとしたところで、一樹がいきなり現れた。
「か、一樹さん、今、お電話くれませんでしたか?」
「かけたよ」
なんとなく機嫌の悪い様子が見てとれるが、梓にはその理由がわからない。
(もしかしたら、さっきの取引先の方との会食でなにかあったのかな)
そう考えてもみたが、険悪なムードにも見えなかった。
「誰?」
「……はい?」
「あの男」
「遠藤不動産の専務さんです」
一樹にしては珍しく、ぶっきらぼうな言葉のキャッチボールだった。
名刺交換をしていたのになんでそんなことを?と思いながら梓が答える。
一樹は小さくため息をつきながら、「そうじゃなくて」と切り返した。
「どうして一緒にいるのかってこと」
「母が私に紹介を」
「なんで?」