恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

「恋人がいないのを心配して、それで……」


責められているように感じるのは、梓の気のせいだろうか。
じりじりと真綿で締めつけられているような感覚だった。


「だから普段履かないハイヒールでめかしこんだというわけか」
「これは違うんです。そんなつもりじゃなくて……」


そこで梓は、ふと思い当たることがあった。
一樹は、友里恵がいつどこで見ているかもわからないのに、べつの男と一緒にいるとはなんだと言いたいのかもしれない。

一樹が自分の婚約者だと言って友里恵に紹介したのに、その梓がほかの男と会っていたのでは信ぴょう性がなくなる。


「ごめんなさい。三島さんのことも考えずに」


梓が慌てて謝ると、一樹は「……三島?」と眉根を寄せた。


「ともかく行こう」
「えっ?」


行くとは、いったいどこへ。

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