恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
(今夜の一樹さん、ちょっと変だな。気に障ることを言ったつもりはないんだけど……)
「三島さんの目を欺くためなのかと思ったんです。すみません……」
「いや、悪い。きつい言い方だったな」
一樹の手が抱いていた梓の肩をトンと優しく叩いた。
「梓とじっくり話したい」
「……私と、じっくり?」
梓とじっと見つめる一樹の目に熱がこもっているように見えて、鼓動が加速していく。
いったいなにを話すというのか。
偽りの婚約者としての振る舞いがなっていないと正されるのか。それとも、お役御免になるのか。
わからないまま一樹に連れられ、エレベーターを降りて部屋のドアの前に立つ。
かざしたカードキーで開錠された扉の中に入ると、とてつもなく広い空間が広がっていた。
毛足の長い絨毯はふかふか。ヨーロッパの宮殿の中にいるようなロココ調の家具が並び、上品なドロップ型のシャンデリアがきらびやかな光で照らす。
どこもかしこも高級感に溢れていた。この前の豪華客船のスイートより広い印象だ。