恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

そんなことを言われる日がくるなんて、誰が想像したか。少なくとも梓は、まったく考えられなかった。
時が経てば終わりを告げる関係。そう思ってきたからこそ、気持ちを押し殺してきたのだから。


「梓が好きだ。だから俺のそばにいろ」


答えるより早く唇を塞がれた。一樹から思いがけない言葉をもらい、梓の胸がうれしさに震える。

反応を見極めるように優しく触れていたのは最初のうちだけ。一樹の舌先が唇を割り、梓の中に侵入した。どうしたらいいのかわからず、梓が奥の方に舌を引っ込ませていると、ゆっくりと口腔内を動き回った一樹が、梓の舌を探り当て絡める。

初めての感覚が、梓の背筋に甘い痺れを走らせた。背中に回していた手で、一樹にぎゅっとしがみつく。

呼吸がうまくできずにいると気づかれたか、一樹が不意に唇を離した。肩を上下させて息を吸い込む梓の頬に一樹が触れる。


「梓……」


甘い囁き声が耳孔をくすぐり、それだけで胸の奥がきゅうっと締めつけられる思いがした。