恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
時間に正確な友里恵のこと。打ち合わせに遅れるのは性格的に黙っていられない。
一樹は友里恵を置き、ひとりで先に三十七階のミーティングルームへ向かった。
エレベーターを降り、真っすぐ続く通路を歩いていると、少し先に梓の姿があるのに気づいた。
長い黒髪をわずかになびかせハイヒールで歩く後ろ姿は、極上の女以外のなにものでもない。その様子に一樹はぐっとくる。
足音をひそめ、梓に背後からそっと近づく。前後左右をさっと見渡して誰もいないのを確認してから、一樹は梓の手を取り近くのドアの中に一瞬のうちに引き入れた。
息を吸い込み、今にも悲鳴を上げそうになった梓の唇に人差し指を立ててあてる。
「か、一樹さん!?」
これ以上ないくらいに見開いた梓の目は、一樹だとわかりシュッと細められる。
「驚かさないでいただけませんか? なにが起きたのかと思ってしまいますので」
肩を上下させるほどに胸を撫で下ろした。
「なかなかの早業だろう?」