恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

「梓さんとお付き合いをさせていただいております」
「えっ? ……えっ?」


陽子が混乱するのも無理はない。
実は、一樹とひと晩一緒に過ごして梓が朝帰りをした日、陽子は紹介した遠藤と一緒だったと思っていた。会ってすぐに朝帰りとはなにごと?と小言を言いながら、恋愛経験のない娘が大進歩を遂げたと喜んでいたのだ。

それがいったいどういうことなのかと困惑して当然だ。


「朝まで一緒にいたのは社長なの、お母さん。ちゃんと話さないでごめんなさい」
「……だって梓、恋人はいないって言っていたじゃない」


それは嘘であって、嘘じゃない。
梓は一樹の偽りの恋人だったから。


「お母様、大切なお嬢さんを朝まで引き留めたことを深くお詫びいたします。実はあの夜、梓さんがべつの男性と一緒にいるところに鉢合わせをして、このままでは梓さんがその人のものになってしまうと、慌てて奪い去りました」
「……まぁ、そうだったの」


一樹の説明にようやく半分ほどは納得できたか、口に手をあてて激しく瞬きをしながらも、何度も頷いた。

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