恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

「梓にいつまで経っても恋人がいないものですから、ついお節介をね」
「母親であれば当然だと思います。私の両親も同じですから」


どちらかといえば秘書の方が熱心に探しているのでは?と、梓が隣で小さくクスッと笑う。


「そうおっしゃっていただけると助かります。立っているのもなんですから、こちらへどうぞ」


陽子は思い出したように梓たちをカウンター席へ案内した。
店内は白木を使ったテーブルと椅子が温もりを感じさせ、〝綺麗な和〟を想起させる。カウンター席が八席と、小上がりの座敷がふた部屋。こぢんまりとした店である。


「お飲み物はなににいたしましょうか」
「私は車で来ましたので、お茶をいただければと思います。梓さんは――」
「私もお茶で」


隣に視線を投げかけながら言いかけた一樹を遮る形で梓が言う。
アルコールでふらついて、一樹に迷惑をかける事態にしたくない。


「わかりました。お料理は?」
「お母様にお任せします」

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