恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
膝の上に手を置き、軽く頭を下げる一樹を前にして、陽子がふっと微笑む。
「ふふ。なんだか〝お母様〟なんて照れちゃうわね。息子ができたみたいだわ」
「ちょっと! お母さん!」
〝息子〟は先走りすぎだ。ひとり娘しかいない陽子の気持ちはわからなくもないが。
チラッと横目で見た一樹は、ただにっこり笑っていた。どう答えるべきか図りかね、とりあえず笑っておこうといったところか。
早速熱い緑茶と、先付である茎わかめの山わさび和えが出された。
丁寧に「いただきます」と言ってから、一樹が箸をとる。
陽子は〝お口に合うかしら〟といった様子で、じっと一樹を見つめた。
「おいしいですね」
「まぁ、よかったわ」
胸の前で両手を握りしめ、陽子がホッとした笑みをこぼす。
「コリコリとした食感と山わさびのピリッとした辛さが絶妙です。色彩も鮮やかですね。オツな一品です」
「ありがとうございます」