恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
その後には、ヤリイカのうま煮やうま煮だしかぼちゃ、カリカリベーコンのポテトサラダなど、陽子自慢の料理がふるまわれた。
「それにしても、梓にこんなに素敵な恋人を紹介されるなんて思ってもいなかったわ。しかもクレアストの社長さんなんですもの」
会話の合間に、陽子が何度となく同じ話を繰り返す。それだけ意外性抜群なのだろう。
梓自身も、いまだに信じられないくらいだ。実は性質の悪いジョークでしたと言われても、〝そうだよね。やっぱり〟と納得するしかないかもしれない。
「そうだ。遠藤さんには、お母さんから連絡を入れておくわね。失礼なことをしちゃうけど」
「ううん、それは私からきちんとお話しするから大丈夫」
そもそも梓があいまいな態度をとったのが発端。たとえ一樹と本当に付き合っていなくても、好きな人がいるからとあの場で正直に言えばよかったのだから。
「それより、お店の方は大丈夫? 常連さんなんでしょう?」
「大丈夫よ。それは梓が心配することじゃないわ」
陽子は軽い調子でそう言い、タコのから揚げを梓たちの前に置いた。