恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
「不愛想な弟だろ? もうちょっと愛想よくしたっていいのにな。あれで小児外科医だっていうんだから」
一樹がフフンと鼻を鳴らす。けれどそこに嫌な感じはなく、逆に愛しさが滲んで見えた。
きっと仲の良い兄弟なのだろう。
「いいえ、そんなことはないです。ちゃんと笑いかけてくれましたから」
「そうか? 俺にはちっとも見えなかったけどな」
冗談めかして一樹が笑う。
修矢は人見知りなのだろう。本当にかすかではあったけれど、たしかに梓に微笑んでくれた。
そこに敬意を込められている気がして、梓はなんとなく胸が温かくなった。
部屋に入ると、一樹はすぐにお風呂の準備をしてくれた。
パールホワイトで統一されたパウダールームとバスルームは、貝殻を模した間接照明が放つオレンジの光でやわらかな印象を与える。
先日泊まったスイートルームにも引けをとらない上品さだ。汚さないように使おうと固く決意し、梓は細心の注意を払いながらシャワーを浴びた。