恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
いったいどのあたりが罪なのか、梓にはさっぱりだ。
「ともかく、俺も一緒に遠藤に会う」
「えっ、どうしてですか。大丈夫ですよ」
陽子と遠藤の前で好きな人はいないという態度をとったのは、梓の落ち度。その責任を一樹に押しつけようとは思わない。
「ダメだ。梓をひとりで行かせるわけにはいかない」
頑として一樹は譲らない。ソファにどっしりと座り、首を横に振る。
「……あの、ひとつ聞いてもいいですか?」
「なんだ?」
一樹が流し目で梓を見る。
「それってもしかして嫉妬、ですか?」
「だったら悪いか」
一樹は憮然として答えた。
嫉妬。まさか自分が、その感情を人に芽生えさせる日がくるとは。