恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
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翌週の月曜日。梓は出勤早々、ふたつのデザインチームの事務処理で大わらわだった。
空間デザイン会社が請け負う仕事の中で最も依頼率が高いのは、イベントブースのデザインである。
そのオファーが金曜日に二件同時に入り、依頼主から聞き取りした希望やイメージ、コンセプトをまとめる作業に取り掛かったのだ。
土曜日の夜、一樹のマンションに泊まった梓は、翌日の日曜日も夕方まで一樹とふたりで過ごしていた。
どこかへ出かけようかという話にもなったが、起きたときにはすでに十一時。ブランチをとってゆっくりと寛いでいるうちに、あっという間に日が暮れた。
一樹といると、どうやら時間の流れを早く感じるらしい。
もうひと晩泊まっていけという一樹だったが、さすがに二夜連続は無理だと答え、後ろ髪をひかれながら帰宅。別れ際に一樹からマンションのスペアキーを渡され、なんともくすぐったかった。
(いったん休憩しようかな)
午前十一時過ぎ。デスクで大きく伸びをしてから梓がコーヒーメーカーの方へ歩いていくと、デザイン企画部の前を通る友里恵を見かけた。
梓に気づいた友里恵が、なにやら目配せをしてよこす。