恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

「ええ。だってあなた、婚約者なのよね? 婚約したら、次は当然ながら結婚でしょう」
「それはまぁそうですが……」


友里恵にしてみれば、最初に紹介されたときに婚約者だったのだから、その先を考えて当然なのかもしれない。

でも、梓からいつだと明言できるはずもない。一樹に結婚の意思はあるようだが、その相手に梓を考えているかといったらどうだろうか。
プロポーズされているのならともかく、それに近い言葉ももらってはいない。

梓は口を濁すしかなかった。


「社長に聞いてもはぐらかされるばかり。あなたたちはいったいどうなっているの?」
「どうかと聞かれましても……」


梓にしてみれば、とてもいい関係を築いていると思うけれど。


「男はしっかりとした家庭があってこそ、大きな仕事を成し遂げられるのです」


友里恵は拳を突き上げたかと思えば、そのまま振りおろして力説。

梓は「はぁ」と力の抜けた返事になった。

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