恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
梓も自分を同じように想ってくれている。そう考えていたのは的外れだったのか。だとしたら、一樹の妄想はかなり逞しいと言えるだろう。
(いったいなにがあったんだ。どうして梓は、突然別れるなんて言いだしたんだ)
それも、梓が言うとはとても思えない鋭い言葉をぶつけて。
考えたところで一樹にわかるはずもなく、ただ二日酔いの気だるさに身を委ねるしかなかった。
熱いシャワーを頭から浴び、一樹が向かったのはクレアスト。仕事場だった。
土曜日に出勤するのは久しぶりだ。式場の案件もあり忙しいのに変わりはなかったが、梓と過ごしたいがために、平日をフルに使い仕事をこなしていた。
社員たちも繁忙期に合わせて出勤体系を変えるなどして対応しているため、社内には土日でも人がいる。
この日、社長室にいたのは秘書の友里恵だった。
一樹を見た友里恵が、「あら」と秘書机から顔を上げる。
「今日は梓さんとご一緒に過ごされるとおっしゃっていませんでしたか?」
その質問に一樹の眉がピクリと動く。
不躾だと感じるのは、梓に振られたせいだろう。