恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
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一樹が妙な噂を耳にしたのは、翌週の火曜日のことだった。
内装工事の段階に入っている式場のデザインを依頼した、シュプリームウエディングの社長である小西(こにし)が挨拶も兼ねてクレアストを訪れていた。
「久城社長、遠藤不動産の専務をご存知ですか?」
忌々しい名前を聞かされ、一樹の眉間に深い皺が寄る。梓の〝ほかにできた好きな人〟だ。
小西の口からその会社名が出てくるのは、別段おかしくはない。今回の式場の土地を斡旋したのが遠藤不動産だからだ。
「先日、偶然お会いして挨拶だけはさせていただきましたが。彼がなにか?」
「どうやら『みよしの商店街』の一帯に商業ビルを建設するらしく、土地の買収を進めているという噂を耳にしたんですよ」
〝みよしの商店街〟に一樹の耳が反応する。
その商店街には、梓の母親が経営する小料理屋がある。梓に聞いたところによると、曾祖父母の代から引き継いだ土地だったはず。
その場所に商業ビルを?