恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

「商店街の同意は得られているんですか?」
「半分は立ち退いてもいいと言っているらしいですけど」
「残りの半分は難色を示していると」
「そのようですね」


一樹の言葉に小西は頷いた。

梓の母親は、賛成と反対のどちらなのだろうか。梓とふたりで店を訪れたときには、大切にしているように感じたが。
曾祖父母の代からだとすると、百年は越えているはず。その店をあっさりと手放そうと思うだろうか。


「では、久城社長、完成まであともう少し、どうぞよろしくお願いします」
「はい、最後まで気を抜かずにいく所存ですので」


最後に握手を交わし合い、小西を見送った。
遠藤と、みよしの商店街の買収。
小西が何気なくした話が、一樹の心にやけに引っかかる。どちらもたまたま一樹と接点のあるもの同士というだけだが、なぜか聞き流しておくわけにはいかない気がした。

社長机で腕を組み考え込んでいるところに、友里恵がコーヒーカップを片づけに入室する。


「三島、ひとつ調べてほしいことがあるんだ」
「はい、なんなりとお任せくださいませ。どういった件でございますか?」


友里恵はスーツのポケットから小さな手帳を取り出し、目を輝かせた。

< 253 / 301 >

この作品をシェア

pagetop