恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
念を押さずにはいられない。あの場所から店がなくなるのは、なんとしても阻止しなければならないから。
「梓さんは心配性なんですね。梓さんはそのことをもう気に病まなくていいんです。あとは僕との結婚に向けて準備をしていくだけです」
「……結婚?」
「そうですよ。だって、結婚を前提としたお付き合いを始めるわけですから」
遠藤はハンドルを握りながら、うれしさを隠しきれないといった笑みを浮かべた。
(私、この人と結婚するの?)
見たくもない未来を提示され、梓は目の前が真っ暗になる。
「婚約はできるだけ早い方がいいですね。そうだ。いいことを思いつきましたよ」
いったいなにかと身構える。遠藤の口から出てくる言葉は、梓にとって決していいことではない。
「遠藤不動産の社員にも紹介したいから、婚約披露パーティーを開くのもいいですね」
「そんなことまで……」
「いや、そうしましょう。早速計画しなくてはなりません」
声を弾ませ、遠藤は俄然張りきりだす。当然ながら梓はそんな気分になれず、さらに気持ちが落ちていくいっぽうだった。