恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
◇◇◇
「例の王子様とはうまくやってる?」
多香子からそんな質問をされたのは、朝食の席でのことだった。
一樹と別れて一ヶ月が経過していた。
多香子の隣では陽子が、うまくいっていないわけがないといったように笑みを浮かべる。
ところが梓の沈んだ表情を見て、「どうしたの? ケンカでもした?」とふたり揃って箸を止めた。
そんなふうに注目されると困るが、このまま黙っているわけにはいかないだろう。一樹とのことはふたりも祝福してくれていたから、別れた事実を隠しておくのは不誠実だ。
「実は一樹さんとは別れたの」
暗くならないよう、できるかぎり声のトーンを上げる。そうでもしなければ、今にも泣いてしまいそうだった。
「どうして?」
「なんて言ったらいいかな、ほら、一樹さんは社長さんで大病院の御曹司でしょう? 生きている世界が違うっていうか、価値観がどうしても合わなくて」
さも正当な理由をあげ連ねる。