恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
スタッフに案内されたのは、目の前に大きな窓があり夜景が見渡せる絶好のカウンター席だった。
「俺は車だからアルコールは飲めないけど、梓は好きなものを頼むといいよ」
「社長がお飲みにならないのに、私ひとりでは飲めないです」
首を横に振り、「私はウーロン茶で」と梓がお願いする。
ところが一樹はそれでは納得できないらしい。
「まぁそういうな。軽いものならいいだろ?」
「ですが」
「少し酒でも飲んで、その硬すぎる口調をやわらかくするのもいいんじゃないか?」
一樹は片方の肘を突いて頬に手を添え、梓をいたずらっぽい目で見た。
しゃべり方の硬さは、梓にも自覚がある。
でもそれは、社長を相手にしているのだから当然だろう。
梓はウーロン茶を熱望したが、結局一樹にカクテルを注文されてしまった。
ほどなくして出されたのは、綺麗な桜色をしたカクテルだった。楼蘭というらしい。